街での買物

この土日は東京に出掛けていた。

主たる目的は買い物だ。ネットで大凡のものを買うことが出来るし僕もネットで買い物することが多い。この秋の引越ではキャビネット、ストーブ、カーテン、収納用の箱など後で見返してみるとギョッとするほどお金を使ったのだが、その大半がネット出来るし買ったものだった。

僕の住む場所は何にしても買物に不便な場所だからネット利用率も高まるのだろう。とは言え、全国の土地面積的に見ていると(人口割合ではないということ)、沼津というところはまだ都会に分類されるのだろうと思う。徒歩5分圏内にコンビニもあるし、10分歩くならば複数のコンビニを選ぶことも出来る。

何もコンビニの有無が生活便利度のバロメーターなのではないが、「物理(買物)的に恵まれた場所か?」という疑問においてはコンビニの有無はやはり大きな判断基準になるように思う。

 

さて、今回の買物はスーツと靴の修理と楽器の修理である。スーツもネット通販で買えるのだが、やはりフィット感やシルエットは試着してみないと分からないし、しっかりとフィットしないスーツを買うなんて無駄遣いも甚だしい愚行だ。

沼津には気の利いたスーツ屋がなく、何軒か町にある田舎スーツ屋で試着もしてみたが全く魅力を感じるものではなかった。こうして僕は東京まで出掛けることになったのだ。そして、靴の修理屋も沼津にはない。僕が持っていった先では「この修理はウチではできません」とつき返された。修理の腕がないのだ、リアットという全国チェーンの修理屋だけど。

そもそも結構昔にリアットで靴を修理したことがあったが、革靴のメカニズムも分かっていないような馬鹿っぽい若者が「何でもかんでもオールソール交換を勧める」というスタンスだったので、もとより信頼していない。その時の修理も酷いものだった。リアットに修理を頼む際には事細かな注意事項を伝え、それらが守られていなければ修理代は払わない…という話をしたほうがいい。

そして、楽器の修理だが沼津には気の利いた楽器屋もない。田舎なので仕方ない。マウスピースにメッキをかけるという依頼を新大久保の楽器店で行った。

今やネットで何でも買え、「物を手に入れる」ということにおいては、都会と田舎の格差は随分と減った。しかし、今回のように街に出掛けないと手に入らないものもある。

沼津に限らず、田舎町の不便さを嘆く人は多いしそれを蔑む人も多いだろう。しかし、負け惜しみではないが、こうした不便さがあるから街に出掛けた時の楽しさもひとしおに感じられる。

今回の買物では納得の行くものを手に入れることは出来たが、やはり東京という街には人が過剰に多く、心地よく過ごせるパーソナルスペースなどとっくにキャパオーバーしている。物は簡単に手に入るけどゴチャゴチャゴミゴミした場所での毎日を豊かな生活とは呼べない。

このあたりはまさに「都会のネズミと田舎のネズミ」だなと思った。