冬の寒さ

今週は「この冬一番の冷え込み」というようなことが報じられていた。「この冬一番」と聞くと、この数日が一番寒い期間で、あとはこれ以上に寒い日はない…と思ったりするのだけど、これはこの冬これまでで一番寒い日…という意味で、なにも「あとは暖かくなる一方ですよ」という意味ではない。

経験的に冬の寒さが一番きついのはやはり2月であり、これから先の一ヶ月の間にもっと寒い日が来るはずだ。

「今年は暖冬だけど…」ということもニュースなどで耳にする。誤報ということもないだろうから、この冬が暖冬であることは間違いないのだろう。

しかし、僕は今年の冬はやたらに寒いように感じている。一つには沼津という町が風の強いところで、風を見に受けることにより体感温度が一層寒く感じるということもあるのだろう。

更にはこれまでより広いウチに引っ越したので、暖房の効きがこれまでよりも弱くなっているようにも思う。

しかし、それ以上に僕を「この冬は暖冬だという説」に対して僕個人に異論を抱かせているのは歳をとったことによるものが大きいように考えている。間もなく50歳になる僕の基礎代謝は着実に下がっていて、自分自身で熱を発する能力も随分と低下したに違いないと思うのだ。

平素の暮らしぶりを振り返れば、僕が特に身体を動かして遊ぶことも無いし、熱い風呂に使って体を温めることも増えた。これにより、僕の身体は自らの自家発電により暖を取る努力(これは反射運動として)を無意識のうちにサボるようになってしまったのだと強く思う。

今年の冬をやたらに寒く感じることから、僕は年末にコートを買った。メルカリで見つけた安価なダッフルコート、本当にクラシカルなものだ。

ダッフルコートを着るのは30年以上ぶりのこととなる。モノホンの学生時代には着ていたこともあるが、やはりスクールアイテムだったり坊やっぽい衣類のように思っていたので、長い間、ダッフルコートには縁のない生活を送っていた。

しかし、沼津の冬があまりに寒いような気になり、更に防寒性能の高い上着を欲しいと思うようになり、これを購入するに至ったのだ。

ウール100%で軍隊の防寒用支給毛布をそのままコートにしたようなダッフルはずしりと重い。冬の寒さを感じるようになると、それまでよりも重みのある布団に切り替え、その重さとともに僕は温かさを感じ取り、寒さ対策に満足する数年を送っている。この「満足する数年」というのは中学生の時以来のように思うから、もう40年近く信じてきた「温かさ=重み」という価値観なのだろう。

しかし、40年来の価値観を覆さざるを得ないくらいにこのダッフルコートが重く、肩の凝りを感じる。これがダッフルコートの重さによるだけのものなのか、僕の運動不足ぶりが招いただけのものなのかよく分からない。

僕が小さい頃、おばあちゃんが「カシミアは軽くてぬくくて本当に上等…」みたいなことを言っていたのを思い出した。当時のおばあちゃんの歳には僕はまだ至っていないが、50歳にもなるのならそんなことを感じても仕方ないのかな…。そんなことを考える僕がいる。