五十の夜

先週の出来事だが、僕は五十歳になった。

土曜日と日曜日、続けて朝早くからイベントの仕事だったので特に誕生日を祝うようなこともなかったが、それでもイベントで会った職場の後輩からお祝いの言葉をかけてもらったりした。

そんな日の夕方前には娘たち二人からビデオメッセージも届いた。そして、その夜、僕は接待会食を終えてホテルに戻り、そのホテルで娘二人と会った。

受験を終えた末娘は学校で謝恩会のような発表会があるそうで、その場で朗読を披露しようと考えたそうだ。そこへの知恵を授けに夜遅くになってからだがホテルに娘を呼び出したのだ。

五十歳。子供のころは「もうおじいちゃん」のように思っていた年齢だし、若い頃にしても「相当に年を取った年齢」というイメージでいた。

実際にそんな年齢を迎えていながら、今現在の僕も五十歳という言葉だけを聞くと随分な年寄のように感じてしまう。ただ、五十という年齢になったから何かが特に変わるわけではない。良いことにしても悪いことにしても、なにかの積み重ねが変化をもたらせているだけなのだ。

運動をせずに楽な生活ばかりしているから太る、生活の中で色々と工夫をするから家事スキルが上がる、演奏することを念頭に音楽を聴くから少しずつ即興演奏が出来るようになる…こうした変化は日々の生活のうえに成り立つものだ。

誕生日という節目をリセット、リスタートの機会にして歩んでいきたい。そんなことを若い二人と過ごしながら考える夜だった。