datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

厚揚の未来

先週のことだ。

僕には珍しく、東京での仕事の打ち合わせがあった。都内で2件の打ち合わせをしたのだが、2件目が「長男の下宿のすぐ近くの駅」での打ち合わせだったので、夕方打ち合わせを終えてから長男に連絡をしてみた。

夕刻からバイトをしていることの多い男であるが、この日はバイトが入っていなかったようで早い夕方から彼と落ち合い、下宿近所の酒場で一緒に軽く酒を飲んだ。

ガキどもの下宿近くで外の店に出掛けて酒を飲むことはとても珍しい。彼らが下宿でちゃんと生活をしているかの確認を含めた「家庭訪問」することが多いからだ。

あとは「僕が料理を疎ましく思わず、なんなら父親の自炊の方が外で食べるよりも何倍も美味しいから…」という理由もあるが、後者の理由は「つまらん店に無駄な金を与えたくない」という僕のセコさもあってのことだ。

ただ、この日は急だったこともあり「たまには下宿近くの店に行ってみるか!」ということで、長男の住むうらぶれた下町商店街あたりの居酒屋に二人で入った。

厚揚に納豆を乗せたものを食べながら「先日遭遇したタピオカ澱粉入りの厚揚」のことを話す。それを話題にしたくて厚揚を頼んだのではない。

メニューを見るとササミが1本で500円したり…といっても拘りの焼鳥屋などではない。居酒屋レベルではなく、スナックで気休めに出てくる家庭のオカズみたいなのをおばちゃんが出してくる店だ。業務スーパーの冷凍フライみたいなのを隣のおじさんが食べていたので、ササミにしてもそんな感じのやつが出てくるのだろう。

そんなメニューの中で一番コストパフォーマンスが高そうだったのが「納豆を乗せた厚揚(480円)」だったのだ。 

「これが妙なモチモチ食感だったら笑うよな…」なんて言いながら長男と一緒に食べたのだが、変な弾力のない普通の厚揚だった。本当に普通の厚揚をトースターで焼いて納豆を付属のタレと混ぜて乗せただけなので、原価は150円もしないし、長男が作っても全く同じものを食べることが出来た。まあ、場所代が上乗せされるので仕方ないけど…。

さて、その数日後、僕はスーパーの豆腐売り場にいた。この間の「タピオカ豆腐みたいな雰囲気のやつ」が沢山並べられていた。

別の商品なのだが、パッケージに「もちっと食感」と気になるワードが記載され

ていたので原材料を見てみた。すると…

2種類の厚揚にはいずれも澱粉が加えられていた。一つは「タピオカ澱粉」そのもの!これには驚いたが、もしかしたら厚揚に澱粉を加えるのは当たり前のことで、それを僕が知らなかっただけなのかも知れない…と不安になった。

「寒天に海藻が加えられている!なんじゃそれ!?」みたいに馬鹿っぽいことを騒ぎ立てていたのなら、本当に恥ずかしい…。

…と心配になったのでネットで調べてみると、澱粉を加えることはまだ常識レベルにはなっていないが、ものすごく多くのメーカーが澱粉入りの厚揚を作っていた。そしてそのことを「おいしさの秘密」として得意げにアピールしているところが多かった。

「モチモチしていなければ厚揚にあらず…」という価値観も意外に近いうちに本当に定着してしまうのだろう。