鮎を食べる

秋になると、実家から鮎をおくってもらう。

家族が釣ったものではない。

実家の近くという訳でも無いが、そんなに遠くもないところに高津川という川が流れている。そこで買ってきたものを送ってもらうのだ。

その高津川は清流として名高い川で、いつぞやは全国一の清流に選ばれたそうであるが、そんなもの田舎役場が観光PRのために高らかに言っているに過ぎない。日本一なんてどうでもいいけど、いい川だ。



僕の育ったうちのすぐ裏に川が流れていた。
小学生の頃は本当によく川で遊んでいた。
水が飲めるような清流でないが、ドブ川でもない。

ハヤ、スナフキ、ゴリ、ムギツク、そしてフナやメランという魚を捕まえることに夢中だった。よく晴れた日に甲羅干ししている石亀を捕まえたりもした。

青少年になり、処分に困った扇情的な書籍を川に投棄したこともあれば、高校の学校帰りに喉を潤すために飲んでいた缶チューハイの缶を投げ捨てるのも川だった。


そんなことが関係するのかどうか分からないが、昔から鮎が好きだ。比較をすれば味の違いはすぐに分かるのだけど、養殖のものも夏になると買い求めて、塩焼きや焼き枯らしにして味を楽しむ。

しかし、高津川の鮎は他の川のものを圧倒的に引き離すくらい美味しいと思う。勿論、鮎が自体の個体差もあるから、高津川の鮎全てが優れているのではないだろうけど、凄く美味しいと思うことが多い。

鮎というと初夏の食べ物という人もいる。
初夏に食べても美味しい。
真夏に食べても美味しい。
でも、秋の子持鮎は更に美味しいものだと思う。


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