秋の味覚

これは人にその美味しさを伝える為というよりも、自分の記憶を色褪せないものにして、その美味しさを頭の中で反芻するための文だ。

鮎は焼き過ぎす、と言ってもワタにも熱が通り皮がパリッとする焼き加減で食べる。火加減もそうだろうが、化粧潮のあて方とか串のうち方というのもちゃんと勉強しておきたい。

なんと言うこともなく、我流で雰囲気だけを象ってやっているものは、その場しのぎとかごまかしにはなるのだけど、後で真意を知ると恥ずかしいくなるようなことが多い。

藻屑蟹は川辺の販売所では「雌の方が美味しい」という触れ込みで売られているそうだ。

僕は雄の方が美味しいと思った。

蟹の玉子なんてもそもそした味気や旨味のないもので、あれを喜ぶ人の気が知れない。そんなものよりも「筋肉質な身や味噌が多い方が美味しい。藻屑蟹は雄に限る!」と僕は思っている。