冬支度④

他の記事に書いた通り、僕の住んでいる地域は相当に温かなところだ。それは間違いない!

昔、この地域の会社に入社して初めての冬を過ごす時に「今よりも寒くなったらいいコートを買おう…」なんて思っていたら、そんなに寒く感じないうちに2月になっていて、遂に寒くなってきたので、洋服屋に出掛けて見てみても、既に冬物がほとんど並んでおらずその年のコート購入を見送った…なんてこともあるくらいだ。


そうは言ってみたものの、人間の順応性というものは凄いもので、温かなところに住んでいても、そのヌルさにはあっと言う間に慣れてしまい、以前は平気だった寒さにも一丁前に「寒い!」と感じるようになってしまう。過酷な環境に慣れるのにはもっと時間が掛かるのだから、人間はいとも簡単に「低きに流れるものなのだ」と痛感する。


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そんな温かなところに住んでいるのだけど、先日「綿入れの半纏」を購入した。

半纏という防寒具は子供の頃から好きだった。
小さな頃は風邪をひかせまいと親が寝間着の上に着せてくれていたものだが、高校生くらいの時にも親に頼んで綿入れ半纏を買ってもらったことを覚えている。中学生の時だったかも知れない。いや、間違いなく中学生の時だった。

当時は「モノへのこだわり」も無ければ、そもそも半纏なんて部屋着の極みのような表に着て行くこともないものだから、田舎町のスーパーだったかテキトーな店で、爺臭くもないと思われるチェックの模様の半纏を母と一緒に買ったように思う。


…そこから時は流れて、社会人になってからの出来事。
仕事で半纏を使うことがあって、先輩から一枚の半纏を渡された。

冬の寒い時にはその半纏を着るようになって20年が経過した。どんな経緯で半纏をもらったのかはここで説明することは割愛する。

しかし、その半纏は決して高価なものではなく、どこかの家(きっと先輩の実家なのだろうけど)に転がっていた、町のテキトーなスーパーで買ったようなものだったのだけど、綿入れ半纏というものはとても温かく、我が家の冬の必需品の一つにもなっていた。

便利で使用頻度は高いのだけど、やはり部屋着の域を決して出ることの無い半纏。重宝していながらも納得はしない状況で半纏を着ているな…と思うようになって数年が経った。

そう、数年前から、冬が来るとこれまでに着ていた半纏はやめて、新しく格好いい半纏を買おう!と思うようになっていたのである。


そこから数年、僕は11月くらいから2月くらいまで、冬がやって来ると、僕は格好いい半纏を探して過ごしていた。

と言ったところで、表に来て行くものでもないので格好良さにも限界はある。それでいて温かさは妥協したくない。

布団屋や呉服店にオーダーして作ることが正解なのか?
吊るしのものであっても、しっかり探せば気に入る物が見つかるのではないのか?

そんなことを考えていると、春がやって来て、気に入った半纏を羽織ることもなくシーズンが終わる。


焦ったつもりはないが、そんな冬にケリをつけるために、この冬に向けて半纏を買った。着心地とか機能性は、今シーズンが終わる頃に改めて記す。今は「納得出来るであろう半纏」を手に入れたことに満足している。