梅雨明けとともに干した梅も順調に梅干しになった。まあ、この梅干が美味しくなるにはまだしばらくの時間が必要なのだけれど…。
塩漬けした梅をこの時期に干すことを土用干しと言う。その言葉は知っていたが、そもそも土用が何であるのかをちゃんと知らなかったので調べてみた。
季節ごとに土用があるので、何も鰻を食べる「夏の土用の丑の日」だけが土用でないことは知っていた。しかし、土用が季節の端境期で作物などが土からパワーを蓄えて成長する時期を表したものだとは知らなかった。知らないことはちゃんと調べることが大切だ。
さて「ドヨウ」というと、子供の頃は土曜日が大好きだった。ドヨウ違いだけど…。学校は昼まであったが、昼からは自由に遊べるのと、夜には「全員集合」など面白いテレビもやる。共稼ぎの両親もゆっくりできる為か平日よりも少しばかり御馳走の出る夕食だった。そして何より、翌日が休みだという開放感とかワクワク感は凄まじいものだった。
そして、夏場のことになるが、僕の育った田舎町では土曜日の夜に「土曜夜市」というものをやっていた。
大した祭りやイベントもない田舎町では、その土曜夜市すらなんだかワクワクするイベントで、たまにではあるが親に連れて行ってもらったりしていた。
それは単なる商店街の販促イベントなだけだったのだが、終夜営業するコンビニも存在しなければ、スーパーだってなんだって夕方には店を閉めていた時代のことだ。ショボい土曜夜市ですら、子供の僕には充分過ぎるイベントだった。
そんな土曜夜市という田舎イベントにワクワクしていた子供の頃に「ドヨウノウシノヒ」という言葉を知った。
土曜日に牛肉を食べる…って言ってるのに何で鰻を食べるのだろう?そんなことを考えていた記憶もある。親に訪ねたこともあったが、子供の僕が納得するだけの答えは帰ってこなかったようだ。
さて、今年の土用の丑の日は数日後のことだ。
しかし、この週末にスーパーを覗くと鰻売り場が随分と拡大していた。そして、普段は中国産の安売り鰻が多いのに、このタイミングだとばかりに値段が倍くらいする国産鰻が沢山並べられていた。
夏の鰻とか節分の海苔巻きとか…。
売り手側の都合で広告コピーで大衆を踊らせて、利益をせしめる。クリスマスだって、バレンタインデーだってそうだし、コレは古くから行われている日本の伝統商法なのだから仕方ない。
しかし、国産鰻の出来合いの蒲焼が沢山並ぶことで僕にとっても面白いことがあった。国産鰻の新鮮な「肝」が安価に出回っていたのだ。
そんな訳で今夜は「鰻の肝焼き」を食べている。
スーパーの売場を所狭しと占拠する国産蒲焼は1尾2,000円はくだらない。中国産でも1尾1,300円くらいだ。
そんな中で30尾分の肝が600円。
土用牛に「う」の付く食物を食べよう!という習わしにも反していない。
肝心の味についての感想やら仕込みの手順については、改めて別項でお伝えしよう。今のところ、良い時期に良い買物をして良い夜を過ごせていると満足している。