秋刀魚の味

秋の味の代表格のような秋刀魚だ。
しかし、この秋はまだ食べておらず、今日になってようやく秋刀魚を食べた。

今年はどうも秋刀魚が高い。
不漁なのかどうなのか、ちゃんとした調べはないのだけど、僕の生活圏では例年よりも高くに売られている。そうなると、どれだけ秋の味覚と言っても秋刀魚など買わなくなる。

秋刀魚という魚は美味しいけれど、基本的には庶民が大口を開けて食べて美味しがる魚なのだから、僕は一尾98円くらいにならないと買いたくない。しかし、今年は不漁なのかどうなのか、未だに一尾が300円に近い値段で売られていた、僕がよく行くスーパーでは…。


そんな高値の秋刀魚ではあるが、季節の味として今シーズンも食べておかねばならんな…と思っていたところ、昨夜、魚屋で半値になったものを見つけたので急いで買い求め、今日の昼飯に早速、塩焼きにして食べた次第。


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秋刀魚というのは、脂の旨さを存分に楽しむ魚だと思っている。塩焼きにして皮の切間から脂がブシュブシュと音を立てて泡立っているやつ!その皮に箸を入れると爆ぜるくらいの脂ブシュブシュのやつが美味いものだ。

こうした旨さを存分に味わうのならば、秋刀魚はとにかく丁寧に扱って、塩をかけたものを皮が破れぬように丁寧に弱火でじっくりじんわり焼き上げるべきだ。

ちゃんと遣って焼いた秋刀魚は、当たり前のようにハラワタも肋骨も美味い。むしろ、ハラワタと肋骨のあたりが美味いところであって、尻尾に近い身など秋刀魚を食べる楽しみのうちには入らないくらいだ。


世の中には、一尾綺麗なまんまの秋刀魚を買い求め、わざわざ頭とハラワタを取り除いて、そのうえ皮に切れ目を入れて余分な脂が落ちるようにしたうえで、フライパンで皮がボロボロになるように焼く馬鹿が多いと聞く。

居酒屋に出掛けても「秋の味!秋刀魚の塩焼き」なんて惹きつけておいて、表面を強火で焦がしただけで肝心の中身は脂がプヨプヨと残っているような有様で、不味くて食べられないようなのシロモノを出す店もある。

家庭で秋刀魚を焼けば、順当な値段ならば一人150円とかで食べられる秋刀魚だが、恭しく表で食べるから「高くて不味いもの」になる。

鷹狩に出掛けた殿様ではないが「秋刀魚は自宅、それもちゃんと焼いた安価なものにかぎる!」なのだと思う。