【旅の思い出】続 ホテルに泊まること

「移動期」と「滞在期」をうまいこと織り交ぜるのが旅を楽しむコツのようにも思う。


鈍行列車で移動をすること自体を旅の目的とする人、いろいろな鉄道路線を走破することが目的の人もいるだろうが、僕はそうではない。

では、飛行機やら新幹線やら、とにかく移動速度の早いものを利用して、点と点を繋ぐように目的地を目指すのかというと、この夏の旅ではそんなことは一切求めなかった。

値段の安い18切符で乗ることの出来る列車を使って、出来る限り移動の道中を楽しむ。これが「移動期」にあたる。そして、その場その場で決めていく旅の目的地も目一杯体感する。これが「滞在期」なのだけど、その2つのバランスをしっかりと両立させたい。そんなことを大切にしてこの夏は旅を楽しんだ。


さて、「滞在期」の楽しさを大きく左右するのが宿泊地である。前回、「意識高い系ホテルの素晴らしさ」について記したのだけど、今回もこの夏に泊まったホテルについて記したい。


その場で決めた目的地に着いてからも、それなりに移動をする。その町の中の観光地に足を運んだり、食べるものを買いに出掛けたり…。

もっと踏み込んで言うと、そうした目的の途中でその町の繁華街を見て回ったり、スーパーの食材だけでなく、国道沿いに並ぶ大手チェーン店の乱立ぶりや、鄙びた商店街にポツンとある地元古参商店の奮闘ぶりを見ることなどが、滞在期の一番の楽しみだった。

こうした、「町を肌で感じる」活動には自転車が本当に役立つ。短時間で多くの距離を移動することが出来て、尚且、町の細かな路地なども走り抜けることが容易だからだ。



この「夏旅」で僕は、山陰地方で2つのホテルに計3泊したのだけど、そのホテルが素晴らしかった。

前述の自転車はホテルで無料で貸し出していた。
列車の中でネットで調べて知っていたことだ。
しかし、このホテルを褒める理由はそれだけではない。

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奇をてらったものではない、普通のものがしっかりとした空間に並んでいる…という、正攻法の部屋づくり。

応接テーブルがある訳ではないが、こちらは安宿に泊まりに来ているので、そこまでの設備は求めない。僕が今回、改めて感じたのは「値段相応のサービスを、そのホテルがをどれだけのホスピタリティを持って提供しているか?」ということの大切さだ。

「自分たちのイデオロギーをわざわざ良質の紙を使った印刷物にして各部屋に配備したり」、「決して美味くはないサンドイッチをあたかも美味いもののようにPRすること」ことなんて、上辺だけを見せかけたホスピタリティに過ぎない。

山陰地方の2つのホテルは同じチェーン店だったが、出雲での空間があまりに素晴らし買ったので、その後訪れた鳥取でもそのチェーンを探して選んだのである。

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まずは宿泊する部屋自体がどれだけ快適なのか?これがホテルの良し悪しの大半になるのだけど、山陰の心地よいホテルは設備などのサービスも良かった。

漫画が沢山並べられていて読みながら寛げるサロンのようなスペース。自由に使えるキッチンと調理道具。夜食ラーメンのサービス。数々の快適な設備も整えられていたが、そんな設備以上に、ホテルのスタッフの応対が気持ち良いホテルだった。

出雲と鳥取、2軒のホテルはいずれもスタッフのキビキビした動きが素晴らしかった。このホテルチェーンのスタッフ教育が行き届いているのだろう。いや、教育なんて施策を感じさせるられることなく、スタッフ皆が自発的なホスピタリティ意識で接客してくれているように感じた。

「モノ」とか「条件」ではない。そんなことも大切だけど、それ以上にホストの気持ちが大切なのだと気付かされた「本当にいいホテル」だった。