糠床について②

今週の頭のことだが、糠床というか糠漬を再開した。

今の僕の住む環境は手軽に良質の野菜を入手出来る市場がない。まだ見つけられていないだけなのかも知れないが、沼津に越してきて一月になるというのに「これはすぐに買わなくては!」とワクワクするような野菜には出会っていないのだ。

「ワクワクするような野菜」というものは、値段が高くてもめちゃめちゃに美味しそうなものだったり、多少の鮮度が損なわれていても凄く安かったりとか…。とにかく僕の買物欲のリミッターが外れるような野菜が見つからないだけではなく、妥協により仕方なしに買っておく野菜と出会うばかり…という状況だ。

そんな状況では「良質な乳酸発酵を楽しむ漬物」なんて取り掛かれる訳もなく、この一月というもの僕は漬物とは縁遠い生活を送っていた。

そんな訳で「比較的手軽に漬物を楽しめる糠床」を再開するに至ったのだが、ここで末娘が大活躍した。

現在、中3の彼女は去年から糠漬とか本格乳酸発酵の漬物作りを楽しんでいるようだが、彼女から乳酸菌の根城である糠床の一部をもらった。

彼女の糠床というのは1年以上前に彼女が漬物を始める際に僕の糠床から種分けしたものだった。去年の年末に僕が「糠床をタッパーごと捨てた時」には彼女は残念がっていたが、その後も遺伝子を継ぐ糠床を彼女が保持していたおかげで、一度は潰えた僕の糠床乳酸菌が再び僕の下へと帰ってきた。

本家が跡取りに恵まれず、御家断絶となろうか…そんな危機に昔、養子に出した家から血縁の濃い養子をとり嫡男として一家を守った…というような塩梅だ。

こうして末娘の糠床から、実家のおじいちゃんトコみたいな僕のウチにやって来た乳酸菌たちは健やかに過している。