糠漬について①

久しぶりに糠漬を始めた。

12年くらい前から、僕は糠床をこしらえてそこに季節の野菜を加えて糠漬を楽しんでいた。それは過去形のことである。

いつのことだが覚えていないのだけど、このブログを振り返ってそれなりに遡ってみると、僕はどうやら2022年の年末にそれまで可愛がっていた糠床を捨てたようだ。

「糠床を捨てた時の事」はよく覚えている、それがいつだったのかはあやふやなのだけど…。新鮮で安価な野菜を割と簡単に入手出来る環境にいた僕はその当時、糠漬にしなくても数々の漬物を作ることに没頭していた。

漬物というものもその幅は広く、更に奥深いものである。調味液に漬け込んで香りや味を付けただけものも一般には漬物として市販されている。

数年前に近くのデパートで京都展をやっていて、そこの主力商品だった漬物をしっかりと見てみたのだけど、その大半はアミノ酸調味液に漬け込んだものであり「漬ける」なんていうよりも「(化学的な味を)付ける」というだけのものだった。漬物などではなく付け物なのだ、京都展でありがたく売られていたものの多くが…。

そんな残念な体験もあり、僕が趣味として行う漬物というものは「基本的には乳酸発酵を伴う熟成過程を楽しむものにしよう」と強く思ったのだった。

そんな経験による「僕なりの漬物感の醸成」もあり、僕の中では糠漬というものは漬物(これは乳酸発酵を促し、乳酸菌の活躍を楽しむという前提によるもの)としては「格下の漬物」という結論に至った。この結果、ある年の年末に断捨離の一環として僕は当時の糠床を捨てた。乳酸菌育成という僕の趣味価値観の中では下等だと思う糠漬とは手を切りたくて、躊躇することなく糠床のタッパーごと捨てたのだった。

そんな状況下で僕は先日、糠床を再び作っている。この背景やら準備の様子については次項に記す。ではまた。