音楽を聴く方法

この春くらいから騙し騙し使ってきたCDプレイヤーだが、沼津に来てからは使っていない。

20年くらい使ってきたプレイヤーを数年前に直したのだが、やはり不具合も頻出しそいつを使うことにストレスを感じるようになった。ダブルデッキで簡易的なDJワークも出来るような「少し特殊なCDプレイヤー」である。

モノを捨てずに使い続けたい性分なので引越が落ち着いたらいよいよ修理に出そうと考えていたのだけど、なかなか修理してくれるところが見つからない。とは言え、聴きたいCDも沢山あるのだから急場しのぎの方法としてDVDデッキでCDを再生しているのだ。

数日前、ストーンズの新譜が出された時にニュースで「アナログレコードが人気」ということを伝えていた。レコード人気をニュースで取り上げるのは特に珍しいことではないが、その中で紹介されていた「プレイヤーにレコードを乗せて、針を落として音が出る…という行為自体が楽しい」という意見が印象に残った。

このところのDVDプレイヤーでのCD再生も、手軽に音源を再生するということにおいては少し面倒な作業が発生するようになった。しかし、このやり方だと再生途中で別の曲に切り替えることが減り(それは更に面倒くさいから…)アルバムをフルサイズで聴くことが増えた。先週あたりから「これはこれでイイな…」と思ったていたのだけど、ニュースでの意見を見て、なんだかストンと腑に落ちるような気がした。

 

僕はお茶(単純な飲料としてのお茶ではなく、茶道としてのやつね…)は嗜まないが、茶道という様式やら姿勢を重んじる行為の価値は理解できる。美味しいスパゲッティを食べるにはしっかりとした皿に盛り付けられたものをフォークで食べなくては美味しさを受け止められない。プラスチック容器によそわれたものを箸で食べては20%もその味を感じられないだろう。

そう思うと、好きな音楽だけをその場その場で聴くという利便さも結構ではあるが、腰を据えてプレイヤーにその時の気持ちで選び抜いた一枚(と言っても僕の場合はレコードではなくCDなのだけど…)をセッティングする…というのも、味わい深いものなのだと感じた。