山葵を漬ける

沼津にやって来てから、この町で手に入れられることの出来る食材の乏しさにウンザリとしていた。

まあ、過ごす町の利便性なんていうものは「慣れと諦め」も肝心だと思っているから、そんなに期待はしないほうが良くて、なにか恵まれたことがあったならば、それをありがたく感じるようにしていたほうが「つまらん日々も楽しくなるのだろう」と思うようにはしている。

そんな中で、僕の買物欲をくすぐる食材に出会った。

職務の中で天城方面に足を運んだのだが、そこで出会ったのが「山葵」である。

トイレ休憩のような感じで立ち寄った道の駅みたいなところに、ニョキニョキと生えたであろう山葵の茎が安価に売られていた。これにはセコい僕も色めきだった。

そいつらを2把ほど買ってきて、先週末に早速酒粕とともに漬け込んだ。

これだけの量を用いると、自分で食べる量を遥かに超えた大量の山葵漬が出来上がるのだが、その多くは「僕の転勤に際して心遣いしていただいた方々」に贈呈する予定だ。

新天地で入手した良質な食材を加工している様子(というか成果物)を見せることで、僕の沼津での元気な様子を伝えられれば…と思ってのことだ。

僕のウチの近くでは未だに大した食材を手に入れられるところを見つけられていない。しかし、車で少し走れば素晴らしい食材があることも分かった。これは沼津の素晴らしさではないが、こちらに越してきだからこそ出会うことが出来たもの…と有り難く感じるようにしている。