飲んだあとで食べる

今日は遅めの午後から取引先の行事に参加していた。隣町(町内会の隣接地域というものではなく隣の市町)にある取引先の新社屋の落成式〜その竣工祝賀会みたいなものだ。

町の有力者のみならず、この地域に票田を持つ国会議員を数人集めての賑やかなもので、中には国政の中でも割と有名な議員も参列しているという「立派な会合」だった。

代議士にとって地元を大切にすることも重要なロビー活動なのだろうけど、そんなことよりも本業に没頭して欲しい。まあ、あらためて顔を売っておいてこの地域の票をまとめておきたいという候補者としての打算的な目論見もよく分かるし、そんな現職議員を来賓に迎えて盛大な会に見せたいという取引先の思惑も分かるのだけど、僕には本当に陳腐な「肩書とか立場の自慢合戦」みたいなものを見るようで、現代政治やら地方都市財界のくだらなさを感じられたのが面白かった。

 

祝賀会では洋食フルコースを御馳走になり、先方社内の内輪受けでしかない余興なども堪能させていただいたのだけど、帰宅して「本当につまらん時間だったが、これも仕事なのだ…」と思い返しながらウイスキーを飲んでいる。

 

そんな訳で今夜は既にしっかりとした一食を夕食としていただいているのだけど、精神的には全く満たされず、帰宅してからの追加ウイスキーのお供として鮭を焼いた。

先日、この町の商業心臓部とでも呼ばれるようなモールに出掛けた際に、冷凍焼けしたことが明らかで見るからに不味そうな鮭を見つけた。不味そうな鮭ではあるが、一片100円という安価に惹かれて買ってきたものだ。

今の流通施設で売られている鮭のことを考えてみると、その多くが鮭ではなく鱒に近いものが鮭として売られているし、消費者もそいつらをありがたく食べている。多くの人は「銀鮭」と称して売られているものこそが鮭だと思っているのだろう。僕が買ってきたものは、その真偽は怪しいものだが一応「紅鮭」ということだった。

その赤い身をほぐしつつウイスキーを飲み進める。なるほど、多少の味の深みはあるが「なんだか嘘くさいような味」を感じつつ、しかしその虚偽の真相は分からずに酒を飲む。

これを食べるから太る。それは分かっているのだけど気持ちの満たされない御馳走のあとにはどうにも止められない。「贅沢な愚痴」であることも分かっているのだけど…。