モノの本質

正月に我が家に遊びに来た長女と話していた時に「名もなき焼きそば」という単語を聞いた。これは普段、どんなものをよく食べているか?という話を僕たち父子がしていた中で出てきたものである。

長男と一緒に住んでいる長女、娘だけでなく息子も含めた彼ら2人のことになるのだけど、彼らは基本的には自炊をして食事している。たまには外食を楽しむようだが、口にする食品の大半を自炊で支度したもので賄っているそうだ。親として…いや、人としてそれが正しいことだと僕は思う。

そんな彼らの食生活についての話をしている際に「名もなき焼きそば」という言葉が出てきたのだ。僕からの「炒め物ばかり食べるって言ってたけど、焼きそば食べることもあるのか?銀色の粉のソースのついたまるちゃんのやつ!」という質問に対して「まるちゃんは高いから買わない。焼きそばも食べることあるけど、もっと安い……名もなき焼きそばを食べるよ。」というやり取りだった。

そこから「名もなき麺類の話」は各種、他の麺類に及び「じゃあ、インスタントラーメンもサッポロ一番とか買わないのか?」「あれもやたらに高いから、インスタントラーメンも名もなきやつだね。味は変わらない。値段は半額くらい…。」と、娘の麺類に対する価値観をしっかりと知ることとなった。

このやりとりのあと、僕は無性に「名もなき麺類」を食べたくなった。本当に名前が無いわけではない。娘のいうところの「名もなき…」は有名ブランドでなく、尚且つ安価なもののことを指す。安価である…ということが一番重要で、有名ブランドでなくとも高価なものは「名もなき」どころか、長女にはその存在すら認知されないはずだ。

こうして「名もなき麺類」を食べたくなった僕は、その話をしてから数日が過ぎていたのだけど「売るものすべてが割高な近所のスーパー」出掛けた。

そこでは予想のとおりに分かりやすく「サッポロ一番(5食セット)は500円くらい、あまり見たことのないやつは250円くらい」で売られていた。これを食べたのである。「名もなきプライベートブランドのインスタントラーメンを食べる」のは別に初めてのことではないのだけど…。

 

特別な味の違いは感じない。よくある油揚げ麺の袋のインスタントラーメンだった。本当に違わないのだろうか?麺類に限らず、ブランド力を信奉し値段の高いもののほうが品質においてもそれなりに上位にあるはず…と思うことの多い僕としては、なんだか懐疑的な結果だった。しかし、今考えてみても、それほどのクオリティの差は感じられなかった。