久しぶりに芋を茹でる。

少し前にHDレコーダーを買ってから、そいつを使わないのも勿体ないと思い、時々テレビ番組を録画している。夜、酒を飲みながら思い出したように何が録画されていたのかを確認して再生してみる。つまらぬネット情報よりかは何倍も面白かったりもする。

そんな録画番組で数日前にポテトサラダが紹介されていた。僕は年に1度か2度くらいポテトサラダを作ることがある。これは特に何かのタイミングで、というようなものではない。ふと食べたくなり…というか作りたくなり作ってみるのだ。

この数年は乾燥マッシュポテトを使用するというサボりまくりのポテトサラダだ。ただ、あれば作るには便利…というよりも「ポテトサラダ作り」と称してはいけないくらいの代物だ。インスタントラーメンを作るのと同じような「料理とは呼ばない行為」なのかも知れない。

便利なのだがやはり不味い。ジャガイモの質感だけ残して仄かな甘みとか風味のようなものは感じ取れない。農作物ではなく工業製品なのだから、ソレも当たり前か。そんな訳で僕はこの数年、特に美味いポテトサラダを食べてもいないのだが、サクヤは久しぶりに芋を茹でた。

多少芽が出ていた男爵芋が安く売られていたので、そいつの皮を剥いてゆでて潰す。言葉にすると単純な調理工程だし、実際にやってみても大した手間ではない。

昨夜は茹でた芋と卵を混ぜて、塩、胡椒、レモンを加えてからマヨネーズで和えておいた。それとは別にセロリと玉葱を塩もみして水を絞っておいた。これらは今夜一緒に和えて調味して、明日の夜まで一日冷やしてから食べるつもりだ。

テレビでは「作り手の数だけポテトサラダの味付けはある」と言っていた。まあ、それだけ味付けに自由度があるということだろうし、極端に塩っぱかったりしなければ、ポテトサラダの味つけなんてどうでもそれなりに美味しくなると思う。

ただ、素材の下拵えだけは的確にやっておかないといとも簡単に不味いポテトサラダが出来上がる。水分過多でベシャベシャにならぬよう、芋や卵の旨味、野菜の苦みや歯ごたえ、こうした素材の持ち味を損ねることなく、美味い一皿を作りたい。