ゴールデンウィークから暫く経った頃、辣韮を漬けていた。下処理をして塩をまぶしておくだけの作業だから、偉そうに「辣韮を漬けた」なんて言ってみても、僕の作業自体など大したものではなく、自然発生した乳酸菌による作業である。

まあ、漬けてからしばらく日も経ったしそろそろ食べられるかな…という気持ちで今夜、今年の初物となる辣韮を賞味してみたのだが、結果は充分。とても美味い辣韮漬けに仕上がっていた。
まだ多少の若さは残っているので、苦みと言うかエグみみたいなものもあるのだけど、シャクシャクとした歯応えは抜群で、乳酸発酵によって生まれてきた酸味が、旨味に変化していく初期段階のような「非常にこの先が楽しみになる味わい」だった。

野菜を塩に漬けて、あとは乳酸発酵に任す…というだけのことなのだが、ただそんな工程で作られるだけの漬物なのに「なぜこんなに美味いのだろう?」と思う。活きた乳酸菌を含み、その乳酸菌の成長によって味を変えていく漬物は本当に美味しい。
ただ、活きた乳酸菌によってもたらされる味わいなので、この先の熟成と言うか発酵の進行によって味も変わってくる。おそらく、あと1週間くらい室温で発酵を促した後は小分けの瓶詰めにして冷蔵庫で保存してこれ以上の熟成スピードを抑えたほうが美味しくなると思う。
年に一度だけ仕込む辣韮漬けであるが、その肝は塩加減。これが多いとやたらに塩っぱくて発酵も進まないし、少ないと腐敗してしまう。今年の塩加減はバチリと決まり、まるでホールインワンでも取れたような嬉しさである。