年中行事のように季節によって色々な漬物を漬けるようになって10年以上になる。
春先の山葵の醤油漬けなどは酵素の働きにより食材が持っている辛味を引き出すものだが、僕は発酵を伴わないものは漬物だとは見做していない。山葵の醤油漬けはあくまで「醤油に漬けた食物」であり、あれは漬物の範疇ではなくお浸しのようなものだ。
…と言うと、梅干しは発酵しているのかどうか分からない。あれは梅の強い酸と塩分によって腐敗を防ぎ、味が熟成していくものだから「発酵食品」ではない。ならば梅干しは漬物ではないのか?というとそんな訳もなく、漬物の代表格くらいの位置にいたりする。
「発酵=漬物」という僕の考え方は偏っているのかもしれないね。納豆やチーズは発酵食品ではあるが漬物だとは呼ばないし、梅干しの他にも「発酵していないけど列記とした漬物」というものもありそうだし…。
さて、趣味の漬物であるが、このブログにはそんなに記さなかったが、この冬以降もそれなりに楽しんでいる。
冬には水かけ菜と小松菜を漬けた。貰い物の水かけ菜がほろ苦くて美味しかったので自分でも漬けてみて、青菜を漬物にするのが面白かったので小松菜も漬けたのだった。
そして、一月くらい前には辣韮を漬けた。ヘタを切って汚れた皮を剥いた辣韮に塩をまぶし込む…という実に簡単な作業。しかし、塩加減がバチッとキマると本当に嬉しいし、キマらなければ不味い。「とにかく塩加減だけ」という調理工程なのだが、これは辣韮に限らず殆どの漬物に当てはまることだった。
塩加減が一番大切なのだから、塩の分量には細心の注意をはらってしっかりと量ればいいだろう…という人もいる。…というか大半の人はそうなのだろうか?
僕は目分量や手に持った感覚だけで「ピタリの塩梅」というのを体得したいので、匙や秤で分量を測ったことなどない。刺身を食べるときに「何グラムの一片に何ccの醤油をつけましょう」なんていう馬鹿はいない。自分の食べるものの適正な塩の量は「当たり前の感覚」として身につけたいものだから。
1週間前に漬けた「青柴漬」も漬け上がった。
本当は2〜3週間、しっかりと乳酸発酵させたかったのだけど、良質の胡瓜を手に入れベランダ菜園の紫蘇も多量に収穫出来る状況になったので、すぐに次を仕込みたかったのだ。
そう言えば、この時に「紅生姜」も漬けた。これは千切りの新生姜を赤梅酢に浸すだけなので発酵しないやつだ…ということに今気がついた。