凄い馬鹿を見つけた!

スパゲッティの乾麺というものは、安く買おうと思えば結構簡単に安いものを見つけられる。

学生の頃にご飯を炊いておかずを支度するよりも、スパゲッティの方が安価に一食を作れることに気が付いた。栄養バランスとか季節感とか酒が飲めるかどうかというのは関係なしの単に腹を満たす一食なのだけど…。


若い頃の僕は「高い麺の方が美味しいはず」と思い込んでいたので500グラムで300〜400円のものを買ったりもしていたのだが、10年ちょっと前からは基本的に1キロで198円のものを食べている。

これは「安いのに美味しい」なんていうレベルではなく、僕は「むしろ安い麺のほうが美味しいのではないか?」と本気で思っている。値段ではなく、調理技術なのだ。


そんな持論を持つ僕が先日凄い馬鹿を見つけた。ウェブで見かけた「猿川佑」という人なのだけど、スパゲッティペペロンチーノを48円で作れることに驚いているのだ。

スパゲッティを大盛りで食べるとして乾麺を150グラム使うとしよう。この価格は約30円だ。そして大蒜と唐辛子とオリーブオイル、これらは高価な素材を選べばいくらでも高価になるが、それらを合わせても48円でペペロンチーノの作れるというのは「適正な普通の価格」だと思う。

これに驚いていることが馬鹿みたいなのだが、この人の「コンソメの捉え方」にぶったまげた。これこそが真の馬鹿だと思った。

こいつはコンソメ味に完全洗脳されていて、自分の食べたものの人口的な旨味が化学調味料コンソメによるものであることすら分からなくなっているのだ。

「味付けはコンソメくらい…」と言ってる段階で、その料理の味はコンソメによるものであることに気付けよ!


僕は料理を作る際にシロウトの投稿レシピは見ない。というか玄人のレシピも見ない。料理というのはなにかの指南書などに基づいて、そいつを再現する作業ではないと思っているからだ。

食べたい味を自分の能力で作り出すことが、僕にとっての料理だと思っている。レシピの再現ではなく、これをこうするとこの味になる…という自らの料理力に任せるべきなのだ。そのうえで美味しいものを作れるようになることこそが料理の上達だ。

音楽に例えると、与えられた譜面を再現する吹奏楽みたいなものではなくて、基本的な決めごとの中で自由にセッションして一つの曲を作り上げるジャズのようなものだ。ミュージシャンによるアドリブと同じように、全てが自分自身の発想力で料理を進めていくべきだと思っている。

スパゲッティというものはコンソメがなくては出来ないと思っている馬鹿が多いようだ。そして和食には顆粒の出汁、中華料理には粉末の鶏ガラスープの素、特に鶏ガラスープの素を鶏ガラと呼ぶ馬鹿には呆れ返る。鶏ガラというのは粉末ではなく、骨やら屑肉のことだ。

こうした馬鹿の作る料理をその子供が同じように真似て作る。こうしてちゃんとした料理法は伝承されずに化学調味料がなくては料理を作れない馬鹿が増殖していくのだと、日本の将来が心配になった。