鰹を食べる

今年度に入ってからだけど、末娘との勉強に勤しむ時間を増やしている。上のガキどもがウチを出て下宿して、それぞれの生活を送っているから残った末娘と過ごす時間が増える…という塩梅であるが、塾に行っても勉強せずに「塾を社交場」のように勘違いする末娘の一計を案じての行為である。

早めの夜から共に勉強を始めて、日によるがある程度の勉強をしたところで一緒に夕食を摂って終了…という流れである。

そんな末娘と先日の夕食に鰹を食べた。

初鰹と言うには時期の遅い鰹であるが、僕たち父娘にとっては今年初めて食べる鰹なのだから「一応ではあるが列記とした初鰹」である。

平素の夕食に刺身を食べる機会の少ない末娘は「おい、今夜は鰹だぞ!タタキにするか?刺身にするか?」との問には「刺身!」と即答だった。

前日に鰹の柵が安く売られていたので買ってきたものだったのだけど、これが割と美味しかった。

そもそも鰹なんて割と生臭い魚であると僕はカテゴライズしている。これには色々な意見もあるだろうが、僕が買い求める「庶民価格の鰹というもの」は割と鰹臭い。簡単に言うと多少なりとも生臭さを伴うものだということだ。

これを緩和させて尚且つより美味しく食べるには「柑橘の香り」「大蒜やら生姜やら紫蘇の薬味」「表面を炙ってタタキにする」というような準備が有効だと思っているので、本当はこの日もこの数年僕の中で流行っている「塩タタキ」にして食べるのが良かろう…と思っていたのだけど、末娘のリクエストにより刺身で食べた。

久しぶりに刺身で食べた鰹は僕の予想を裏切ることなく割と生臭いものだったのだけど、それはそれでも美味しいものだった。

 

掲出した写真は、娘と鰹を食べ始めた時に思い立って掛け変えた「鰹の手縫い」である。鰹の手縫いを部屋に飾り直し、多量の鰹に舌鼓を打つ女子中学生。

「鰹ってのはさ、江戸っ子にはとんでもなくカッコいい食べ物だったようだよ」とか「秋の戻り鰹と夏前の鰹は別物だ」なんていう、大人にとってはなんということもないような雑学雑談を交わしながら末娘と味わう鰹。やはり僕は「塩タタキ」の方が美味いだろうな…と考えながら食べていたのだけど、楽しい夕餉だった。