家具のケアをする。

沼津に越してきてから、ウチに中の設備投資に余念がない。設備投資なんて言ってみても、ウチを快適に過ごす空間にするために割とお金を使っている…ただそれだけのことだ。

引っ越しをすると足りなくなるものも生まれてくるし、逆に新居では使えなくて不要になるものも発生する。住空間を変えるのだから何かの新陳代謝のように仕方のない出費だと捉えている。

カーテンやらタッセルの留具、ものを機能的かつ快適に使い回せるようにするための収納用品など、僕は沼津期に来てから本当に色々なものを買った。前のウチよりも広いところに越して来たので不必要になるものはそんなに多くない。大きなエアコンと沢山のプランターが使えなくなったくらいだろうか。それ以外のものは前のウチにあったものはだいたい使用しているし、特に捨ててしまった大物家具なんてのも無い。

新しいものを買うことばかりに住空間を充実させるためのエネルギー(というか僕の財布の力)を使ってきた数ヶ月だったが、昨夜はビタ一文も金を使わずに家具のアップデートを行った。

4年前に新調したテーブルである。このテーブルは僕の実家のルーツとも言える寒村の山の中に生えていた栗の木を使ったものだ。樹齢はよく知らないのだけど、とにかく長い年月をかけて成長した実家の実家、僕の御先祖様たちが育ててきた栗の木である。

この木が虫に喰われて枯れた時に切り倒されて、切り倒された後からも10年以上実家の軒下に寝かされて剃りやら油抜きの対策を施された「一家に伝わる大切な思い出の木材」を僕が使用している。

このテーブルの板面に昨夜は植物油をすり込んだ。「すり込む」と言っても既に何度か油を塗った木材だからスッと染み込んだりはしない。塗布するという方が的確な表現か…。

ずっしりと重い栗の板は僕の先祖たちがその末裔でもある僕を守ってくれる家具のようにも思う。僕は懐古主義者なのだろう。新しいものよりもその道具がどれだけの歴史を積み重ねているものなのか?という方に興味がいく。

そうしたものが僕の子孫に引き継がれていくのかどうかは分からないが、とにかく可愛がり、日々の生活の中でしっかりと使用して「道具としての責務」を果たさせてやりたいと思う。