定位置について

数年前に職場がフリーアドレスになったのだが、これは本当に浅はかな取り組みだった。

場所を自由にして各自の荷物は日々持ち歩き、様々な社員と隣り合うことで相互の交流を…という触れ込みだっだが、そもそも固定PCでこそサクサク作業出来ていたものが皆で社内LANに繋ぐのだからノロノロになった。

僕の属していた部署は社内のシステムを使って各種作業から帳票を作るようなところだったので、社内システム用の端末は有線ケーブルに繋いで固定されることになった。この時点で会社の推し進めていたフリーアドレスは簡単に崩壊した。

僕たちの部は確保されたスペースと専用端末により、かつての効率で仕事に取り組めるようになったが、そうした正当性を主張しきれない場所は残ったスペースで足りないモニターを奪い合いながら視認性の低いノートパソコンのモニターを見ながらの作業を強いられている。

気分を変えたり、社員間の交流を取ることも大切ではあろうが、本業の効率を落としてまでやることではない。これは僕の勤め先の社長が馬鹿で、その馬鹿社長の言うことにはなんの意見もせずに「へいへい」と言うことを聞く憲兵隊のような総務部によるものだ。

やはり、人にとって「安心して気持ちよく過ごせる定位置」というものは大切なのだ。

 

さて、職場のことを書いたが自宅でも「心地の良い定位置作り」が一歩進んだ。

沼津に越してきて大小いろいろなものを買ったがその一つがキャビネットである。食器を格納しているが、これは僕にとってはとても大きな買物だった。

このキャビネットが今回の主役ではない。写真手前のスツールを更に買い足したのだ。

キャビネットを設置したのは10月半ばのことだが、それ以来キャビネットの上にグラスを置き、そこで莨を嗜み寛ぐ…ということが増えた。キャビネットの高さがバーのカウンターのような感じで心地よいのだろう。…いや、バーカウンターにしては低すぎるか?

まあ、その高さによるものなのか、そこから見える光景によるものなのか、理由など考えないのだけどそこが心地よかった。とは言え、ずっと立っているのだから本当に寛げているのかは僕自身にも不明だった。

そこで新たに我が家に招いたのが写真のスツールである。中古のもので8,000円くらい。粗大ごみの日に市内を根気よく巡回すれば捨てられていそうなものだから、この価格は高いのかもしれない。しかし、機能的にスツールの役割を果たすだけのような中国産のベニヤ椅子のようなものでも3,000円とか4,000円で売られていたので、これは安いものだと僕は思っている。何しろ風格が違う、中国産ベニヤ椅子とは。

心地の良い空間を作る、その中でも本当にフィットする場所が定位置になるのだろう。キャビネットとスツール、沼津に来てから手に入れた新参者家具たちがどれほど僕を快適にさせてくれるのだろう。この家具たちともしっかりと付き合っていきたい。