
今年の秋刀魚は大きくて型の良いものをよく見かける。テレビでも豊漁とのことを言っているが、近所にあるスーパーでは一向に安くならない。
秋刀魚が秋の味覚の代表格であることには違いないが、安くなるのを待っているのもしゃらくさい気持ちになって買い求めた。
昨夜、食べたものは既に3尾目。いずれも丸々と肥えていて美味しそうなものだった。2尾目は接待会食で訪れた高価な和食屋で出てきた。

店主は仕切りに「こんなにいい型の秋刀魚は滅多にない」と言っていたが、僕が沼津のスーパーでもよく見かけるレベルの魚体だった。コースでしか、それも貸切でしか営業しない店だから秋刀魚だけの値段は分からない。おそらく秋刀魚の塩焼き1尾で1,500円くらいなのかと思う。
店主大絶賛の秋刀魚は悪くはなかったが、自分で焼いたものの方が数段美味しかった。僕は秋刀魚を焼く時には決して皮を破らないようにそっと扱い、皮の内面で秋刀魚の脂がしっかりと回るようにゆっくりと焼く。店で食べたものは皮に切れ目が入れてあるので、焼いているうちにそこから脂が落ちていく。
秋刀魚というのは脂がジグジグいっているようなやつを食べるから美味い。余分な脂が嫌なら、そんなやつはそもそも鯵でも食べとけよ…と思う。
それに比べてとにかく皮を破らないようにじっくりと焼いたウチでの秋刀魚は申し分なかった。脂の乗った秋刀魚からはどれだけデリケートに扱ったところで、皮の一部から脂が吹き出す。しかし、魚体に残った脂はハラワタを香ばしく揚げ焼きにしてくれて本当に美味いものだった。
昨夜は「沼津のウチとの送別会だ」ということで長女と一緒に夕食を食べた。
山形のだし、糠漬け、山椒昆布の佃煮、茗荷のバター炒め、豚汁、秋刀魚の塩焼き、大根おろし、鶏の唐揚げという普通の献立だったのだが、僕たち父子はそれらを大御馳走として喜んで食べた。そして酒を飲んだ。
好きな食物のこと、鮨屋での野暮な振る舞い、野菜で辿る四季の食卓の様子、スナックでおっさんが好きなカラオケ曲、カッコいいアコギの演奏についてなど…、好きな食事を摂りながらその味に舌鼓を打ち、とりとめのない話をしながら夜は更けていった。
秋刀魚についてはこの一週間で3尾を食べたので食傷気味…というか「今シーズンはもういいかな…」という感じ。…なんて言っておいて、2〜3週間くらいして安いのが売られていたら買うかも知れないけど…。