スタジオジブリによる「火垂るの墓」が公開されたのは僕が中学2年のときのはずだ。ちゃんと調べた訳では無いが、トトロと同時公開だったので中2の時の事だと思っている。
僕のうちは映画を観に行くようなうちでもなかったし、そんなうちで育つものだから僕自身にも映画を見る習慣は無い。映画を全く見ないわけではないが、日本人の平均回数と比べると相当に低いはずだ。
大人になってからは年に2〜3回くらいは映画を見に行くようにも思うが、子供の頃なんて幼児期にはマンガ映画を夏休みとか冬休みの度に見に行っていたように覚えているが、小学校にあがってからは映画を見たという記憶がほぼない。これは親が子供に対する関心として「一緒に面白い体験をしてその記憶を大切に…」みたいなものを持っていなかったためだろうと思う。
小学校以降の僕は家族と子供主体のレジャーに出掛けたこともなく、出掛けるとすればお爺ちゃんおばあちゃんを「楽しみターゲットの主体」としたような山菜狩りとか紅葉を見るドライブみたいなのに出掛けたことしか覚えていない。
さて、話を映画に戻すが、少年期の僕にとって映画というものはテレビで放送するもので、水曜ロードショーとかゴールデン洋画劇場とかで放送されるのを見るのが映画鑑賞だと思っていたほどだ。そういう意味で、世の中の人は「当たり前ように毎週なにかの映画鑑賞をしているもの」と思い込んでいた。これはテレビ視聴であり映画鑑賞ではない。ものを知らないというのは恐ろしいことだ…。
そんな訳で僕は「映画としての火垂るの墓」はこれまでに一度も見たことがないのだが、テレビ画面では何度も見た。
この数年はやっていないと思うのだが、ネットの書き込みなどでも「夏になるとアニメの火垂るの墓が放送されるのが風物詩…」みたいなものを見かける。そのアニメについては捉え方は様々あるので、視点ごとにそれぞれの意見やら考え方があって面白い。設定背景やプロットは別としても、それぞれの登場人物の台詞(演技力を含めて)が素晴らしい。
特に人を罵ったり嗜めたりする時には「西宮のおばさんスタイル」はうってつけである。嫌味たっぷりなあのおばさんの正論を是非とも多くの方に日常会話で使うようになって欲しい。
さて、そんなアニメ版の火垂るの墓をよく見るようになったのはこの10年少し前くらいからのことだ。それまでも「よく見かけていた」のだけど、10数年くらい前からyoutubeに勝手にアップされている動画のお陰で、僕は8月のお盆周辺でなくとも「エッジの効いた西宮のおばさん語録」に接することが出来るようになったし、「生活力と社会性を持ち合わせない海軍将校のバカ息子の愚行の数々」も見たい時にいつでも見られるようになった。
そんな「いつでも火垂る」というような状況ではあったが、やはり勝手にアップされた動画なんてものは気がつくとなくなっていたりするので悲しい思いもした。「兄ちゃん……、なんで違法動画消されるん…?」って感じで。
ということで僕はこの作品のDVDを購入した。もう7〜8年前のことだと思う。DVDを買えば鑑賞頻度も増えるかと思う方もいるだろうが、特に頻度は増えていない。
ただ、年に一度(と決めている訳では無いのだけど)、終戦の日あたりでこれを見る。戦争と平和についてなんていつだって考えられることだし、いつでも考えるべきことだ。単に年中行事の一つのようになっているが、夏のこのくらいの時期にこの作品を見るのは僕は好きだ。