娘との食事

一昨日の夜のことだ。春休みを利用して親類のうちに遊びに行っていた長女が沼津の我が家にやって来た。

翌日は都内でバイトもあるとのことであり、僕も翌日の金曜日は祝日なのだが朝から仕事だったので、木曜日の夜〜翌朝までを一緒に過ごす…という限られた時間でのことだった。

娘の来訪を聞いたのが週頭の月曜日。…ん?日曜日の夜だったかも知れない。…とにかく、娘が沼津に立ち寄ることを知ってから僕は事前準備を進めておいた。少しでも一緒に食事を楽しむ時間を増やしたかったから。このうちの一つが燻製作りを早めたことであり、数日前にポテトサラダを作っておいたのも、この夜の娘との食事に向けてのことだった。

夕方、仕事を終えた僕は普段より早めに職場を後にして、ちょうどその時間くらいに沼津に着く娘を駅まで迎えに行った。

 

この日の献立を記しておこう。

シャンパンで乾杯、蕪の漬物、出来て間もないスモークチーズ、山葵の粕漬とクリームチーズ、菜の花の辛子和え、芹のお浸し、肉じゃが、ポテトサラダ、山葵の醤油漬け。そして、木蓋を落として炊いた銀シャリ。こんなところであろうか。

「半年前の夏の旅の思い出話」「HDレコーダーで録ったテレビ番組の感想」このあたりを互いの近況報告やら日々思うこととともに語り合う。

前夜は祖父祖母のうちに泊まり、祖父から痛烈に酒を振る舞われたという長女は一晩経っても酒があまり美味くないという「けしからん状態」だったので、彼女の酒坏はそれほど進まなかったが、楽しい夜だった。

彼女が大学に合格して、それからすぐに下宿探しとか一人暮らし(厳密には長男との二人暮らしなのだけど…)での生活指南なんかをしてからもう1年が過ぎた。この時間の流れの早さとともに、1年ちょっと前まで、本当に少しの期間ではあったが僕が作っていた彼女の学校弁当についても懐かしく話した。

本当に楽しい時間というものは、本当にあっという間に過ぎるもので、一昨日の夜から昨日までの時間は「瞬間の出来事」のように思われる。

昨日、下宿に帰宅した娘から届いた「僕の弁当の写真」。これは木曜日の夜に娘と一緒に酒を飲む傍らで、炊きたての飯を弁当箱に詰めて、鮭と玉子を焼いて作っておいた「久しぶりの父親弁当」である。

山葵漬の瓶とかこれから熟成させたほうが美味くなるスモークチーズとかなんか持って帰られせられるものとともに、この弁当を娘に渡して僕は仕事に出掛けたのだった。

送られてきた写真から判断すると下宿に戻ってからこれを食べたのであろう。彼女からの感想は「とにかく懐かしかった」とのこと。作り手のである僕も「とにかく懐かしかった」。

人のために作るメシ…。それは張り込んで高価な食材を用いたもののこともあるし、ありあわせを利用して詰めただけというもののこともある。

ただ、そんな材料の良し悪しは別として、ちゃんと人を思って作るものであれば、ちゃんとした美味さが伝わるものなのだろうと思いたい。