自宅で食事をすることが好きだ。
料理をすることやそのために買物をすることは家事であり、生活のための作業なのだが、僕にとってはそれが趣味のようにも思っている。
「生活=趣味」とか「趣味は家事です」みたいな捉え方をしていると料理なんて「作っている間こそ」が趣味を楽しむ時間だということになる。お金を払って映画を見たりライブをに行ったり、あるいはパチンコをしているのと同じような時間の費やし方に思えるようになるのだ。
こうなると、料理のために買ってきた食材の費用なんて映画やライブのチケット代と同じようなものになるので「料理の材料費は料理を楽しんだ時点で減価償却出来ている」というふうに思うことが多い。
スーパーに買物に行くのも台所に立つのも、そして食器や調理器具を片付けるのも趣味の時間だと思っているから食べるもの自体の値段など本当に安い(と感じている)。
仮に自宅で材料費1,000円の食事をしたとしても800円分くらいは「料理というホビーを楽しむレジャー代」として減価償却しているのだから、僕は200円の材料費で食事を楽しんだような気持ちでいる。
これに対して外の店で材料費1,000円分の食事を摂るとその価格は2,000円とか3,000円、あるいは4,000円とかになるのだろうね。それには調理や配膳をしたり食器を洗ったりする手間賃、店舗の施設や心地よく食べるための照明や空調、調度品などあらゆる費用がかかってくることを鑑みれば当然の価格設定のように思う。
方や200円でもう片方は4,000円。そして多くの店は僕のウチよりも空間としての快適性は劣る。そりゃそうだ。のびのび過ごせるように充分なパーソナルスペースを取れるだけの家賃を払っているし、気持ちよく食べられる食器も揃っている。そして気分に合わせて吹きな音楽をかけることが出来る。
外の店でもしっかりとした空間を備えたところは本当にしっかりとした料金もかかるし、安居酒屋でもその雰囲気が好きだと言う店もあるから一概には言えないのだが、ウチと外の店を比較するのが土台無理な話なのだ。
そんな訳で滅多に外食しないのだが、昨日は息子と一緒に外で昼食を楽しんだ。

日本橋で「七人の侍」を観たあと、御茶ノ水で息子と待ち合わせして行ったカレーライスの名店、エチオピアである。
たまたま「神田カレーグランプリ」をやっていることを知ったので日本橋からの帰りにその会場に寄ってみた。


多くの人で賑わっていたし、沢山のカレー屋がブーフを出していたが、そこでのカレーには全く食指が動かなかった。
多くのカレーが900円くらいで売られているのだが、人が持っているそのカレーを見ると本当に量が少ないのだ。普通の人でも2食は食べられるだろうし、よく食べる人なら3食。仲間とシェアするなら4食5食と食べることが出来るような量なのだった。
これはまさにイベントの意図そのものであって、沢山のカレーを試食のように賞味することが目的なのだからコレでいいのだ。僕は「ちゃんとした量を食べよう思えば2,000円くらいかかること」とか「紙皿にプラスチックのスプーンで食べるものが不味そうに見えた」から、そこで食べることはやめた。意見の合わないものは立ち去るべきなのだ。

イベント会場からエチオピアまでは徒歩3分くらい。ここなら適正な値段でちゃんとした食器に装われたちゃんとしたカレーを食べることが出来る。各種スパイスの中でも特にカルダモンの爽やかさが印象的な美味しいカレーだった。
カレーを食べ終えた僕たちは御茶ノ水から歩いて帰宅した(僕はチャリンコを押して)。御飯を大盛りにした息子とカレー屋を大盛りにした僕は「価格と味、そしてそこで過ごした時間の楽しさ」について話をしながら歩いた。
こうした反芻も含めてエチオピアでの食事というのは価値のあるものだった。