田舎暮らしに憧れたら陥ること

タイトルは随分と「大きく出た」感じがするのだけど、心の奥底で強く感じたことなので、大袈裟だけど「田舎暮らしに憧れたら陥ること」について書く。


もともと僕は「農村」とか「田舎町」とか「過疎地」という言葉がハマるような田舎の出身だから、そう思うのかもしれないけど、それなりに年を取ってきて田舎暮らしに憧れるようになってきた。

これは「年を取ってきたからそう思うようになった」だけなのではなくて、「都市部での便利な生活をある程度の年数続けてきて、そこの面白さにも飽きてきたし、無い物ねだりで田舎に憧れている」部分も大きいのかも知れない。

街と田舎とどちらで暮らしたいのか?についての結論はすぐには出せないのだけど、ここ最近「僕が思う田舎暮らし」に近づく行動をとっていることは間違いない。本当に些細なことなのだけど。



糠漬を何年も楽しんでいるが、糠床に足す糠をこれまではスーパーで「煎り糠」を買ってきていた。これがどうも経済的ではないし、より自然に近いものの方が良かろう…そんな気持ちで、この夏から「農協で無料で貰って来た新鮮な糠」を使っていた。


そして、春からこっち、プランターで家庭菜園を楽しむことにも夢中になっていて、植物のちょっとした成長に一喜一憂する毎日を過ごしている。


大袈裟な言い方だけど、これらは「田舎暮らしへの憧れ」が原動力になって始めた行為なのだと捉えている。本当に田舎に住むということは、そんなママゴトみたいなものではないし、部屋の中でおこなえることではなくて、住む所自体が田舎になることだから、「ゴッコの範疇を超えないもの」なのだけど。


さて、そんな「ゴッコ」を楽しんでいたのだけど、この夏から秋にかけては「とにかく虫に悩まされた」。

プランター菜園へのコガネムシのことは、もう飽きるくらいこちらにも書いたけど、その他にも虫が現れていた。農協からもらってきた米糠に虫が湧き、小さな蛾のようなやつが台所を飛び回るような事態にも陥っていた。

大群で飛ぶわけではなく一日あたり5匹くらいを目にしては、払い潰したり殺虫スプレーをかけたりしていたのだが、そんな日が何日も続くので米糠を放り込んでおいた段ボール箱を整理すると、米糠の入ったビニールぶくろの中には沢山の虫がいることが分かった。

慌てて米糠ビニール袋を何重もの袋に詰めて直ぐに捨てたのだが、その後も何日か残党が飛び回るような有様だった。


この間、田舎の母と電話で話した時に、これらの虫の話をしたところ「田舎ではごく当たり前のこと」のような反応だった。

コガネムシはそこら中からやって来ては作物や観葉植物を荒らしていくし、糠は当然のようにレンジで加熱してから虫が湧かぬように熱処理をしておく…とのことだった。


田舎に生まれたので、そんな生活の知恵も自分には備わっているように勝手に思っていたが、先天的にそんな知恵が備わるわけもない。

いい年をしたおっさんになって、そしてそれなりに痛い目にあってようやく気が付くこともあるのだ。