烏賊が鬼門。

昨夜は長女と一緒に夕食を食べた。

近くで買ってきた一玉18円の茹で中華麺を使って皿うどんを作ったのだけど、やはり皿うどんを太麺でやるにはちゃんぽんの麺じゃないとあまり美味しくもないな…という発見があった。

食べる機会はそんなにないが、僕は皿うどんというものを食べる時は太麺を食べる。おそらく世間一般ではパリパリに揚げた細い麺を餡掛けと一緒に食べる方が広まっているように思う。しかし、僕はちゃんぽんの太麺の皿うどんが好きだ。これは本当に個人の好みでしかないのだけど……。


さて、昨夜の皿うどん…と言うより、餡掛け焼そばには安く売られていた烏賊を入れた。烏賊の出汁が美味しいこともあるが、肉を好まない長女向けに作るので、烏賊という食材はほぼマストのように思っている。僕も好きなのだが。

調理過程を長女に見せながら、チャチャッと焼きそばを作って二人で食べ始めて間もなく、長女がむせ始めた。勢いよく食らいついて、充分に咀嚼しなかった烏賊が喉に詰まっていたのだ。

彼女が烏賊を喉につまらせるのは僕が見ている時で3度目のことだった。こんなに烏賊を喉に詰まらせる人のというのもそうそういないと思う。


僕の記憶にある初回は僕と長女がふたりでドライブに出掛けた時だったと思う。その日は長女が風邪かなにかで学校を休んだのだろうと思うけど、その日は僕も休暇をとっていた。

長女が意外に元気だったからなのだろうけど、僕たち二人は風光明媚なバショにドライブに出かけで、ドライブ途中で買っておいた烏賊の磯辺揚げを二人で食べたのだけど時だった。

そして、二度目の記憶は新幹線の中でのことだった。多分ディズニーランドに行って新婚線に乗ったときに昼御飯に買った弁当の烏賊の天麩羅を喉に詰まらせていたと思う。この模様は末娘が夏休みの絵日記にも「姉が烏賊を喉に詰まらせて死にそうになっていました」みたいに書き留めていたと思う。

さて、そんな思い出話は置いておこう。

苦しそうにする娘を大急ぎで洗面所に向かわせて、喉に手を入れされて急いで烏賊を除去するようにさせた。ゲホゲホ、ウエウエしばらくやっていたのだが、異様に長い間、苦しそうにしている。

聞き取りにくい滑舌で彼女が訴えかける事を聞くと、どうやら烏賊を除去しようと大口を開け過ぎたものだから、なんと顎が外れてしまっていた。

涙目で何を行っているやら分からない苦境を説明する彼女を助けるべく、僕は大急ぎでスマホで「顎がはずれた時の対処法」を調べた。

その情報によると……って、僕の説明よりも、説明もそのものの画像を載せておこう。

こちらに記載されているとおり、普段はそんなことのない出っ張った関節を優しく下の方に押し込んでいく……すると、あっという間に長女の顎はもとに戻った。

人生で3度(それもまだ18歳なのに!)烏賊を喉に詰める女なんていうのもめずらしいと思うが、その挙げ句に顎が外れるなんて凄いことだと思う。芸人ならば「ネタになるとても美味しい経験」なのではあるまいか?


そう言えば、焼きそばを食べる前に彼女は「テレビでファミレスに行って食べていた芸人の顎が外れて、その様子がとても可笑しかった」とよろこんで僕には報告していた。

無事に顎を戻した彼女は「顎の外れた芸人のことをわらってたからバチが当たったのではないか……」と反省していた。

そうした心掛けも大切だが「まず、烏賊を食べる時はよく噛むこと」これを彼女の信条にさせなくてはならん。