去年の初夏にイタリアンパセリの種を蒔いた。
どうした訳かなかなか芽が出ずに、夏の盛りになってようやく芽吹いた。
沢山の種を小さなプランターに蒔いたのだけど、無事に育ったのは3株だけ。これらのイタリアンパセリは折に触れて僕の食卓を彩ってくれた。
昨年の夏から葉が出て来てはそれを摘み取り、色々な食事に生かしてきた大切な相棒である。…が、いよいよ薹が立ってきた。
「薹が立つ」なんて言葉は昔から知っていた。
しかし、実際に身近にあるものが、その言葉のとおりに「薹を立てた」のは初めての体験なのかも知れない。
「薹」になる茎がニョキニョキと伸び始めたのはつい2週間くらい前のことだ。あれよあれよと伸びていき、今朝見たときには小さな蕾のようなものも出来ていた。
写真を見返してみると1月のパセリは地べたにベタッと葉を伸ばし、身を低く構えて少しでも冬の陽の光を浴びようと「冬型のフォーム」で生息していたことがよく分かる。春が訪れる前のタンポポのようなスタイルだ。
きっとこのパセリは種子を残すために全身のパワーを薹に集中しているだろう。葉っぱも固くなり、柔らかな葉からの芳香を楽しめるパセリではなくなった。
食卓にイタリアンパセリが手軽に登場しなくなることは寂しくもあるが、代替わりの時期を迎えているのだ。一年間、一緒に過ごしてきたパセリとの別れの時が近付いているのだ。
こいつらが残すであろう種は今年も植えて育てていこうと思う。また今度、こいつらの子孫の代のパセリと会おう。キザな言い方であるが「サヨナラをしなければ、また会えないじゃないか!」だ。