5年に一度

僕は貝全般がとても好きだ。

食事の際に僕たち親子に頻出する話題として「〇〇の中で何がなくなったら嫌か?」とか「〇〇と□□のどちらかがなくなるならどっち残す?」みたなやつをよく話す。

食物の好みなんて基本的にはその時の気持ちによるところも大きいし、2つの食物を比較しても、それぞれに違うものなのだから本当の比較は出来ない。ラーメンとカレーを比べても別の食物なのだから、どちらが優れたという答えは存在しない。

しかし、話題として喋るのだから白黒つけなくてはならん。そこで、とにかく「今の気分」とか「今、思いつく理屈」で会話を続けよう…という決まりになっている。そしてこの決まりは既に10年近く僕ら親子では普通の会話になっていて、僕らはこの考え方を「ラーメンカレー理論」と呼んでいる。

 

さて、前置きが長くなったが、僕たち親子は「魚介類、それも魚とは呼ばれないものの中で一番なのはなにか?」という問いへの答えについては、「基本的には貝」という意見統一がなされている。

この問への答えは、次いで海老、そして蛸→烏賊→蟹…という感じである。こうした中でのトップにあたる貝は大抵どれも好きなのだが、その中でも僕は「鳥貝」が一番好きな貝だと思っている。

4〜5月になると魚屋で「生の鳥貝がないか?」と長年探していた。僕の住む町(住んだ町)は鳥貝との縁が薄いようで、滅多に見つけることが出来ない。スマホの写真記録を見てみると、前に生の鳥貝を食べたのは2018年の4月でのことだった。今から5年前のことだ。

この年はどういう訳か鳥貝がよく売られていた。殻付きの生のやつを複数回買ったし、剥き身を茹でられたやつなんて、それまでは毎年のように割と安価に買っていた。

そもそも鳥貝という会話自体がそんなに遠いものではなく、夏前になると何度かは食べていたのだが、2018年に初めて殻付きの鳥貝を食べて、更に鳥貝を好きになった…という経緯がある。

5年前といえば、長女は中2だったし末娘は小4だった。彼女たちと一緒に殻付きの鳥貝を食べ、長女はそれを覚えていたが末娘は忘れていた。

子供だったからなのか、食へのこだわりの差なのか、鳥貝に受けたインパクトの差なのか、末娘が覚えていない理由は分からないが、そのくらい昔のことだったとも言える。

こうして久しぶりの邂逅を果たした鳥貝の味については別稿に記したい。